荒砥城とは
・長野県千曲市にある城山史跡公園に再現された連郭式山城。
・1524年(大永4年)村上市の一族山田氏により荒砥城(もしくは新砥城)が築城される。
・上田原の戦い(1548年)や砥石崩れ(1550年)など、2度に渡って武田晴信(後の信玄)を撃破した村上義清でしたが、1553年に葛尾城が落城し山田国政も戦死。
・山田氏滅亡後、屋代氏が入城しますが川中島の戦いで上杉軍に攻められ、武田軍にも攻められ戦火の中で翻弄します。
・第5次川中島の戦いの後、村上義清(1573年)、武田信玄(1573年)、上杉謙信(1578年)、らが次々に没し、北信濃における戦いは終焉を迎えた後、屋代秀正は上杉景勝に海津城(松代城)の副将に任命されるものの、上杉氏に背き海津城を出て荒砥城に籠城。上杉軍に攻められ1584年に落城となりました。
アクセス(交通案内)
地図
経路
千曲川右岸、戸倉駅方面から向かうなら、国道18号線から県道498号聖高原千曲線に接続して、千曲川を超えて戸倉上山田温泉街の少し外れにある「城山入口」の交差点を直進。
山を登っていきますが、この坂道なんと勾配が18%もあります。ここまでの勾配の標識はなかなか見かけることはないと思いますが、道幅も狭いですし冬季や積雪時はどうなるんでしょう?
訪れるのは路面が凍結しない時期が良いと思われます。
善光寺大本願別院の横を通過して、しばらくすると荒砥城跡入口の看板が出てきますので、そこを右折。
駐車場
右折してすぐの右手にちょっとした駐車場があり、その先にも駐車場があります。
駐車台数は手前が7台、奥が10台です。
駐車料金は無料で、城山入口の交差点からここまでは4,5分で到着します。
服装や装備
城山史跡公園はとても良く整備された公園です。荒砥城は山城ではありますが、入場門近くまで車で行くことが出来ますし、道路も舗装されているのでカジュアルな服装とスニーカーで全然OKです。
入園に際して
入園料
駐車場から3,4分も歩けば案内所に到着します。入園料は一般が300円ですが、JAFカードを持っていると250円になります。
案内所の右手にトイレがありますので、用を済ませてから入園するのが良いでしょう。
入園時間は午前9時から午後5時まで。入園最終時刻は4時30分までとなっています。
リーフレット
案内所では荒砥城跡のリーフレットと葛尾城への道路案内図、千曲市の飲食店や観光案内マップがもらえます。
これらはこの後活用できますので是非頂いておきましょう。
ペット(犬連れ)の入場の可否
荒砥城はペットの入場可です。私は犬を連れて行きました。案内所でも確認しましたが、ペットの入場は許されています。
荒砥城:城山史跡公園内へ
四の郭
入場門を入ってすぐ右手にあるのが四の郭です。幅はそれほどありませんが奥行きは結構あります。
三の郭
四の郭から2,3分も歩けば右手に三の郭があります。四の郭同様幅はありませんが奥行きはあります。そして眺望もいいです。
二の郭
二の郭入口
二の郭の入口付近までやってきました。
正面には土塁があり、右手には櫓門。
敵兵は90度直角に右に回らせられます。
二の郭櫓門
二の郭入口の櫓門です。
門の上には人が立つことが出来、敵兵はここからも攻撃を受けることになります。
そして門をくぐっても正面には石垣でまた直角に右に回らせられます。
右に曲がらされた後も、進入路は細く登っています。ここでも左右の上方から攻撃にさらされます。
井楼櫓
二の郭に入ってすぐにあるのが井楼櫓です。荒砥城の象徴、山城の醍醐味とも言える立派な佇まいです。
井楼櫓から見る荒砥城の全景です。
手前が二の郭にある兵舎を再現したもの
奥には本郭が見えています。
兵舎(二の郭)
兵舎の建物は2つの部屋に仕切られており、手前は展示室になっています。
パネル展示やジオラマ、荒砥城や屋代城、松田家館などの出土品が展示されています
奥の部屋は映像室になっており、荒砥城はもとより周辺の観光案内のビデオを上映しています。
冠木門
二の郭と本郭の間にある冠木門。
この門をくぐっていよいよ本郭へと向かいます。
本郭
櫓門(本郭)
本郭の櫓門です。
二の郭よりさらに進入路は狭く、そしてここでも中に入るには右に90度回らせられます。
二の郭と同様、櫓門をくぐると右手に直角に回らされ、進入路は二の郭より長く緩やかにカーブしています。ここでもやはり左右の上方から敵兵は攻撃にさらされることになります。
本郭
本郭には2つの建物があり、手前が兵舎、奥は城主の館が再現されています。
兵舎(本郭)
兵舎の中は展示室となっており、NHK大河ドラマ「風林火山」や「江〜姫たちの戦国〜」の撮影風景がパネル展示されています。
城主の館
城主の館の中の様子です。
展望台からの眺め
本郭には展望台があり、荒砥城より西側の地域を見ることが出来ます。
荒砥城の最後の城主だった屋代氏の詰城だった屋代城やその向こうには戸隠山、飯縄山も見えています。
荒砥城全景
荒砥城が再現されているのはごく一部です。かつて5つの郭をもつ連郭式山城でした。
さらにこの山の尾根伝いに荒砥城跡群として荒砥小城、若宮入山城、證城などから構成されていました。
周辺の城郭
荒砥城を隈なく見て回っても所要時間は1時間程度で事足ります。せっかく千曲市を訪れたのなら周辺の城郭も巡ってみるのはいかがでしょうか?
葛尾城
千曲市ではなく、坂城町の山の中にある城ですが、荒砥城の井楼櫓からも見えるくらい、千曲川を挟んで目と鼻の先にあります。登城口がある坂城神社の裏手までは車で10数分程度の距離です。
葛尾城の登城口は坂城神社の裏手にあります。このすぐ近くには無料の駐車場もありますので、そこに車を停めて登るのが良いでしょう。
地図には60分と書いてましたが、私は40分ほどで登れました。ですがかなり険しい山道です。荒砥城は軽装で十分でしたが、葛尾城はスニーカーだと厳しいです。登山靴とまでは言いませんが、最低でもトレッキングシューズで入山したほうがいいでしょう。
葛尾城のYouTube動画
葛尾城についてはYouTubeに動画を1本上げています。よろしければそちらもご覧ください。
屋代城
荒砥城と同じ千曲市にある屋代城も荒砥城を語る上では欠かせないでしょう。
荒砥城最後の城主となった屋代氏の詰城でした。
屋代城へは南側にも登城口はありますが、遺構を見ることもなく、あっさりと本郭に到着してしまうので、成田山不動尊がある北側登城口から向かうのをおすすめします。この階段のすぐ前に数台停められる駐車場もあります。
屋代神社を通り過ぎ、いくつもの曲輪や堀切などの遺構を見ながら20分もあるけば本郭に到着します。標高も低いですし山登りというほどでもないので、私はスニーカーで登りましたが、多少滑る箇所がある程度で十分登ることが出来ました。
実際に行ってみると、山の上にある本郭としては想像以上に大きいと感じます。
東西22m、南北58mもあるそうです。
周囲を木々に覆われてるので、葉が生い茂ってる夏の時期は木々の間からしか眺望は望めません。
屋代城のYouTube動画
屋代城もYouTubeに動画を上げています。参考にしてください。
鷲尾城
屋代城まで来たのなら鷲尾城にも行ってみてはいかがでしょうか?屋代城からは目と鼻の先、車で数分の距離に位置しています。倉科氏は村上氏の支流ですから関連性はあります。
鷲尾城登城口の数百メートルほど手前に倉科の里というちょっとした公園のような施設があり、そこの無料駐車場に5台分の駐車スペースがあります。登城口までは徒歩で数分の距離です。
登り口から30分とありますが、私は写真や動画を撮りながら登っても20分かかりませんでした。ここはスニーカーだと厳しいです。かなりの山道ですし、倒木などもあったりして行く手を阻まれます。それなりの靴と装備で臨みましょう。
しかし石積みの遺構などかなり良好な状態を保っており、主郭の後方にある二重堀切、そのさらに後方にある三重堀切などは感動を覚えるほどの見事さです。
山道は険しいですが、それほど時間もかかりませんし、登城を是非おすすめしたい城ですね。
松田家館と武水別神社(たけみずわけじんじゃ)
荒砥城の展示室に松田家館の出土品がありましたが、同じ千曲市内にある松田家館と道路を挟んですぐ隣りにある武水別神社も行ってみる価値はあります。
松田家館は武水別神社神官屋敷です。
2017年9月に起きた火災で県宝2棟などを消失しましたが、2023年3月の開館を目処に復元作業中。
遺構としては土塁や堀などが残っています。
信州三大神社の一つに数えられるだけあって拝殿なども見事なんですが、12年5度に渡って繰り広げられた川中島の戦いの初戦の地ということで、ここは見て回るにもそう時間はかかりませんし、荒砥城からも車で十数分の所にありますので、時間が許すのであれば足を運んでみるのもいいと思います。
松田家館と武水別神社のYouTube動画
松田家館と武水別神社のYouTube動画はこちらになります。
千曲市でランチなら蕎麦料理処「萱」がおすすめ
さて、千曲市でランチをするなら茅葺屋根が立派な蕎麦料理処、その名も「萱」はいかがでしょうか?
戸倉駅のすぐ近くにあり、国道18号線沿いに面しています。
築250年、有形文化財に登録されているその茅葺屋根が目印になるので、すぐに見つけられるでしょう。
左が二八、右が十割の合盛り蕎麦と天ぷらの盛り合わせ。薬味も生わさびを擦るなど本格的です。
味の方もさることながら店内の佇まいも風情があってとても趣がある空間ですので、ここの蕎麦は是非ご賞味することをおすすめします。
戸倉上山田温泉
ここまでご紹介してきた荒砥城、葛尾城、屋代城、鷲尾城、松田家館、武水別神社、全てを回っても1日で済みます。
山城を歩き回ると疲れますが、荒砥城の山の麓には戸倉上山田温泉街が広がっています。
ゆったり温泉に浸かるのもいいですし、無料の足湯などもありますので、疲れた足を休めるにはピッタリですね。
本記事のYouTube動画
この記事のYouTube動画を公開しています。静止画ではなく動画でもっと詳しく知りたいという方は視聴してみてください。
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最終訪問日:2022年8月25日
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